事業承継を進める中で、税負担の軽減は重要な検討要素のひとつです。特に、持株会社という形式を採用することで、税制上の一定の優遇を受けられる可能性があり、多くの中小企業で注目されています。ここでは、具体的な制度とその実務上の活用について説明します。
持株会社を活用することで得られる税務上の恩恵
事業承継に持株会社を使うことで、株式の移転時にかかる贈与税や相続税の負担を軽減できる場合があります。たとえば、一定の要件を満たせば「事業承継税制(非上場株式等の納税猶予制度)」が適用され、後継者が取得する株式に対する税金の納税が猶予される制度です。これにより、資金繰りの圧迫を回避しながら、承継が進めやすくなります。
株式移転とグループ法人税制の関係
持株会社を設立して事業会社を子会社化する過程では、株式の移動が発生します。ここで活用できるのが「グループ法人税制」です。この制度では、100%グループ内での資産取引に対して課税を繰り延べられる仕組みがあり、企業グループ全体で見た際の課税コントロールが可能になります。特にM&A後の再編時などにも役立つ制度です。
節税メリットを最大化するための注意点
税制の恩恵を受けるためには、要件の適合やタイミングの調整など、専門知識が必要です。たとえば、事業承継税制を利用する場合は、事前の認定申請や5年間の継続雇用、株式保有の継続などが求められます。また、制度変更も多いため、最新情報をもとに専門家の助言を受けながら計画を進めることが肝要です。