事業承継において、持株会社の仕組みを取り入れる方法が注目されています。後継者が新たに設立した会社を通じて経営権を段階的に移すことで、経営の連続性や財務的な安定を図ることができます。ここでは、持株会社を活用した事業承継の基本的なステップを解説します。
まずは持株会社の準備と出資設立から
承継の第一歩は、後継者が資本金を用意して持株会社を設立するところから始まります。続いて、この会社が事業を引き継ぐための資金を確保します。多くの場合、親会社となるこの新会社は金融機関からの借入を行い、既存の事業会社の株式を取得します。借入金の返済には、承継後の配当金収入を計画的に活用する設計が求められます。
株式取得による子会社化の実行
資金面の準備が整えば、持株会社は事業会社の株式を取得し、完全子会社とします。この仕組みにより、後継者は親会社のオーナーとなることで、間接的に事業を支配することが可能になります。株式の譲渡に際しては契約書や税務申告など多くの手続きが必要で、専門家の関与が重要です。
承継後の体制整備と継続的な管理
持株会社を用いた事業承継は、実行後の体制維持と資金計画も成功の鍵を握ります。子会社からの配当が親会社の財務を支える構図では、収益の確保と分配の安定が欠かせません。また、持株会社の設立や運営にはコストも発生するため、税制優遇の適用可否や長期的な管理体制についても十分な検討が必要です。承継後も継続的なモニタリングを行うことで、事業の持続可能性がより高まります。